Last Modified 2004/08/29



 TG−20D5 強襲格闘型戦術攻撃機ヴェイグス




 一年戦争以降、ビーム兵器の普及に伴い、MSの進化は「ムーバブル・フレームの採用によるAMBAC機動の効率化」という『運動性の確保』に傾いていた。その進化方向の選択の成否は、グリプス戦争時に開発された多くの高機動MSにおいて見ることができるが、MSの機動性を確保する点で、最も大きな問題となっていたのが「操縦者の反応行動が機体に反映されるまでのタイムロス」である。
 一般的なMSの回避シーケンスは「操縦者の危険察知 -> 従来の操縦系による機体への行動入力 -> 機体の危険回避機動」のシーケンスで行われる。熟練と呼ばれる操縦者達は、効率的な回避機動を行うことで、具体的な回避率を向上させていたが、この回避シーケンス自体の高効率化を図る為には、新しい操縦系の開発が必須条件であった。
 操縦系による回避シーケンスの向上を図る為には、操縦者から、短時間の内に、多くの情報を機体に伝える必要がある。従来の「人間の手・足のみによる操縦系」は、情報入力媒体として限界に達しており、その方向でのさらなる進化は望むべくもなかった。そこで、技術者達が注目した、人間の情報入力媒体が『肩』である。
 マヌーブ・スキャン・シートと呼ばれる、パイロットシート兼情報入力デバイスを用い、操縦者の肩の動きをスムーズにMSの挙動に加える事により、回避シーケンスでのタイムロスを削減し、ひいてはMSの被弾率を大幅に低下させようという目論見は、MSの進化方向に対しての、技術者の一種の挑戦であった。
 また、従来のMSに見られた『盾による防御』も、一部の熟練操縦者以外には扱いが難しく、「盾による防御行動を行うか否か」の判断に費やされるタイムロスを避けるため、重量的にも死過重となり得る『盾』を排除し、超薄膜型Iフィールドで全身を覆うという『フィールドスキンシステム』が採用された。
 この新たな操縦系と防御思想を取り入れ、重装甲MSに高い機動力を持たせることに成功したのが、TG−20D5『ヴェイグス』である。

 フィールドスキンシステムを攻撃に転用し、「使用直前にのみ力場を発生させ、近接兵器のエネルギー消費を抑制する」という思想のハシリである、左腕に内蔵された『積層フィールドパンチシステム』や、「作戦行動中の装備変更等による汎用性の向上」という概念を捨て去る事と引き換えに、MSのマニピュレータと兵器との接合面で生じる細かなズレや振動を防ぐ事を目的として右腕に固定された『アームカノン』、航空機やミサイル等の迎撃から、近〜中距離の攻撃手段ともなり得る汎用の『胸部ビームバルカン』等、MSの開発思想を意欲的に先取りしたこの機体は、先の新操縦系との融合により、近〜中距離において絶大な戦力を発揮した。特に上半身の自由度が向上された為、左腕フィールドパンチはビームサーベルを凌駕する破壊力を持つに至った。また、ジェネレータ出力の大部分を兵装に使用してしまうため、地上でのホヴァー走行は不可能となったものの、地上走行用の脚部グライディングホイールと瞬間旋回用サブジェットの併用は、走行ベクトルを急激に変動させる、地上での『反転機動』という、この機体独特の回避行動を可能にした。

 しかし、この機体に様々な恩恵を与えた新操縦系も、上半身被弾時による機体衝撃をストレートに操縦者に与えてしまう事や、操縦者のパイロットシートへの固定の甘さを補う為、コックピットの居住性が低下する事等、パイロットの負荷を増加させる要因となってしまった。そして最も致命的であったのは、新操縦系の採用によってコックピットブロックの構造が複雑化した為、パイロットの脱出が困難となった事である。その為、ネオ・ジオンは「最も高価なパーツであるパイロットを消耗させることはできない」として、この機体の正式採用を見送ったのである。


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サイコガンダム用データシート

TG−20D5 強襲格闘型戦術攻撃機ヴェイグス

移動力(W)

攻撃方法

命中値

威力

移動力(H)

4/9

積層フィールドアームパンチ

±0

16

最大出力回数

 

 

 

誘爆値

 

 

 

耐久力

 

 

 

指揮範囲

反応性能

4/5

ポイント

38

シールド性能

格闘戦闘能力

14

装甲

回避値

S防御

正面

10

10

11

14

 

側面

10

13

 

後面

12

 

武装\距離

10

11

12

13+

タイプ

回数

右腕部アームカノン

+1

+2

+3

+1

−1

−2

−3

−4

−5

−6

 

 

 

BS

14

(14)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

胸部ビームバルカン

+1

+3

+2

+1

±0

−1

−3

−5

 

 

 

 

 

20×2

11

10

 

 

 

 

 

胴体

積層フィールドスキン搭載(バリア値:14/8回)《暫定》
積層フィールドスキンは隣接ヘクスよりの攻撃に対しても有効
移動セグメント中旋回時に機会射撃の対象にならない

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